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"Tiny tiny. ma petite Moka." 知らない誰かが優しい声で私をそう呼ぶの。
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さぁ、かわいいモカ。


お休みの時間ですよ。




⌒☆


「あぁ、どうしよう、姫がいない!」


王子さまは嘆き悲しみました。

28夜の月が祝福し、72の流星群が式に華を添えることになっていた今日は、王子さまとお姫さまの結婚の日でした。

ところが、王子さまが月硝子の聖堂で永遠を月に誓うために花嫁を迎えに行くと、最愛のお姫さまである彼女がいなくなっていたのです。

花嫁控え室には今日彼女が持つことになっていた星のブーケと月光で刺繍された靴が一組転がっているだけ。

愛しのお姫さまが纏っていた花のサシェの香りだけが仄かに部屋に漂っていました。


「姫は、僕のことが嫌いになったのだろうか」


がらんとした部屋を見つめて溜息を零し、最悪の結末を想像した王子さまに、白鳥座のヴェガが舞い降りて言いました。


「陛下、僭越ながら申し上げます」

「白鳥座のヴェガ」

「我が君の花嫁は、陛下のことを厭って逃げ出したのではありませんよ」


本当かと訝しい顔をする王子さまにヴェガは続けました。


「姫さまは、悪戯なファルファッラにヴェールを持ってかれそうになったのです。陛下が今寄りかかっている窓でようやく取り返したのですが、大変身を乗り出しておられまして‥為す術もなく夜海へ堕ちられたのです」

「どうして、姫を助けなかったのだ!」

「申し訳ありません、白鳥座に属するわたしは夜の彼方まで翔べても、鰭と鰓がないので夜の海へは潜れないのです」


王子さまの心の中は、いなくなってしまった姫のことでいっぱいでした。

堕ちるときに星に身体をぶつけて怪我はしていないか、お腹は減っていないか、夜の寒さで凍えてはいないか。

靴も履かずに出て行ったのだ、華奢で月の人魚姫よりも華奢な足は肉刺ができていないか、地上の硝子を踏んで怪我をしていないか。

はたまた‥考えたくはないが、他の誰かに恋を語られてはいないか(!)


王子さまは、夜空から落っこちてしまったお姫さまを探すことにしました。


星屑色の巻き毛、地上に瞬く灯り色の瞳、ミルキーウェイよりも柔らかな色をした肌、どの星座よりも華奢で繊細な肢体。


何よりも手がかりとなるのは、王子さまがお姫さまに贈った指輪です。


その指輪は、お姫さまの故郷の色のような薔薇色の星屑を繋げた指輪でできていて、フェアリーフィンガーよりも華奢なお姫さまの薬指に嵌っているのです。


大好きな故郷に別れを告げ、姫が落としていった靴をお供に王子さまは旅を始めたのでした。






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to be continue....?


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